【筆耕ってなに?】デジタル時代に残る手書きの価値
「筆耕」とは
みなさんは、筆耕(ひっこう)という言葉を知っていますか?
辞書で調べてみると、
https://www.weblio.jp/content/%E7%AD%86%E8%80%95
1 写字や清書で報酬を得ること。また、その人。「-料」
2 文筆によって生計を立てること。
と説明されています。
筆を使って文字を書き報酬を得る仕事のことをいい、これを生業にしている人のことを「筆耕士」と呼ぶこともあります。
「書道家」とは違うの?と思った方もいると思います。
書道家と筆耕士はどちらも筆を扱う専門家ですが、やっていることは全く違います。
書道家・・・文字を芸術作品として表現する人。
筆耕士・・・正しく整った実用的な文字を書く人。
大きな作品を作ったり、最近ではパフォーマンスもする書道家がいるのに比べ、筆耕士は小さな文字をコツコツ書く、少々地味なお仕事です。いわば、表現者というより、「職人」に近いイメージです。

筆耕のお仕事
筆耕の仕事は幅広くあります。代表的なものを挙げると・・・
・賞状、感謝状、表彰状の全文筆耕
・封筒やはがきの宛名書き
・卒業証書の名前入れ
・祝辞や謝辞など、式辞の筆耕
さらに紙だけでなく、たすきやペナントなどの布地、樽酒の立札など木材に書くこともあります。
その場合は、専用の墨を用いることもあります。

印刷ではなく手書きを選ぶ理由
「今の時代、印刷で十分なのでは?」と思う方もいるかもしれません。
たしかに、印刷は早くて安くて、仕上がりもきれいに揃っています。
ですが、特別な場面では、印刷ではどうしても「味気ない」と感じることがあります。
以前、ある中学校の運動部の先生から、こんなご依頼をいただきました。
「いつもは印刷の賞状なんだけど、今回は子どもたちの最後の大会だったから、手書きで贈りたいんです。」
夏の大会の賞状を書いてほしいというご依頼でしたが、この言葉を聞いた瞬間、とても胸が熱くなったことを覚えています。
手書きの文字には、相手に敬意を表す気持ちを伝える力があります。
受け取った人が「大切にされている」と感じてもらえるからこそ、お金と時間をかけて手書きが選ばれるのだと思います。

おわりに
デジタル社会だからこそ、手書きの文字には特別な価値があります。
「筆耕」は単なる文字の代筆ではなく、「贈り手」と「受け取り手」の気持ちをつなぐ重要なツールです。
誰かに感謝を伝えたいとき、人生の節目に彩を添えたいとき・・・
「筆耕」の力を頼ってみてはいかがでしょうか。